そして「mylo」、彼のアルバムを聴いてみてまず感じたことは、彼の音が意外にも先に触れたようなフランスのハウスシーンの音を継承しているように聴こえたことでした。(「mylo」はスコットランド出身。) 強いて言えば「in my arms」に見られるようなサンプリング素材をフィルター処理した質感は「daftcrew」に属する「demon」、そのセンチメンタルなコード感やボコーダー、シンセ使いは「ernest saint laurent」に近い感じを受けます。 またクリックハウス的なトラック等もフレンチシーンの昨今の流行でもあります。 (このアルバムに多く収録されているダンスミュージック以外のトラックについては、多くの人が示唆しているとおりもう一人今のクラブシーンを語る上で無視できない存在「royksopp」の影響であると本人も認めています。 彼もまた「daftcrew」の重鎮「alan braxe」と親交があること等興味深い事実が多々あるのですが、詳しくはまた別の機会に触れてみたいと思います。)
そしてそれを裏付けるため「mylo」と「daftcrew」との接点を探ってみると、まだ「mylo」の出世作「destory rock & roll」が話題になる前の2003年頃、「daftcrew」の末っ子「aloud」のヒット曲「rockyⅩⅢ」のremixを担当していたことがわかりました。 (実はこの12インチを購入していたのですが、当時「mylo」の事はまったく意識していませんでした。)
ただ一方で彼の音楽は今まであったものをより洗練させたものであり、やはり「prodigy」、「the chemical brothers」、「underworld」、そして「daft punk」と言ったシーンに名を残していった人々に比べると強烈なオリジナリティの不足を感じえないのも事実です。
ただそのデザインワークのセンスのよさ、(いちいちジャケのデザインが格好いい!)また何よりも彼の出世作でありアルバムタイトルにもなっているトラック※1「destroy rock & roll」に歌詞において、さまざまな大物アーティスト達を「destroy」の言葉と共に名指しした過激な姿勢が、パンクを生んだ国イングランドで支持される要因になったと考えられるかもしれません。
※1) 個人的にはこの「destroy」のメッセージは個人的にはリスペクトの裏返し、洒落のようなものであると解釈しています。 実際に「destroy」と名指ししている「prince」に関しても彼自身のmixCDでトリに使っていることからもわかります。 むしろそうでなければ「prince」の方が彼のmixCDに楽曲使用の許可を出すことなどありえないでしょう。 (ただ「prince」は「the space cowboy」によってremixされ、おそらく「one more time」以降最大のクラブヒットとなったトラック「I would die 4 you」によって多大な恩恵を受けたので、クラブシーンに対して寛容になっていると考えることはできます)
House Music Awards 2005 の結果が発表http://www.higher-frequency.com/j_news/november05_i/25/2.htmMylo頑張った28項目中の2つでアワードとっちゃったよDefected(最近知った) もいいけど、Myloすごいじゃーん