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主にフランスの流れを汲むクラブミュージックに関する雑記です。

ROULE 305 RMX STARDUST "Music Sounds Better With You"

前回紹介した「Music Sounds Better With You」のREMIX盤です。
「Technique」系列の中古レコード店「spice record」の3Fテクノ棚のインデックスSのところにこないだまで転がっていたので、もし興味があればどうぞ。

Chaka Khan "Fate"(サンプリング元)

■Music Sounds Better With You (12" club mix)

今までの流れと変わらずいたってシンプル、「Chaka Khan」の「Fate」と言うトラックのイントロからサンプリングされたネタをただただループさせたものに「Benjamin Diamond」によるボーカルが乗っかっていく構成です。

この曲の代名詞とも言えるのがサンプリングネタ中のカッティングギターの音です。
mash upとまではいかなくても、この音をサンプリングしたトラックは数多に存在した気がします。

ただ展開も割と単調で、サンプリングベースであまり音質も良好とは言いかねる質感に狙ってか狙わずかなっています。
ですので非常にエンジニアの仕事のしっかりしたjpopなんかに耳が慣れている人が突然聴くと「これでいいの?」って思っても無理もないような感じです。

■Music Sounds Better With You (radio edit)

先にリリースされた片面プレス版に収録されていた「12" club mix」を文字通りラジオや家聴きに適した形の3分前後に尺を縮めたバージョンです。
基本的に音自体に全く違いはないです。

■Music Sounds Better With You (Dimi & Bibi Anthem from Paris)

今や渋谷よりも秋葉原で有名になってしまった「Dimitri from Paris」と「Bibi」(こちらの方は残念ながら存じ上げません)によるremixです。

原型を留めないremixばかりの中、オリジナルをフロア使いしやすいようにした感じのmixです。
オリジナルを聞いてもピンと来なかったんですが、個人的にはこのmixでやられました。

おそらくゆるいフランジャーをかけて音程に変化をつけたスネアを並べなおして作られているグルーブ感がなんとも格好いいです。
「Daft」をはじめフレンチではよくフェイザー、フランジャー系のエフェクトが多用される傾向があるんですが、このmixもトラックの顔でもあるカッティングギターの音色にもまたフェイザーがかけられていて、オリジナルのギリギリとした質感から丸みを帯びた質感になっています。
(もしかしたらシンセで音を作り直しているかもしれないです。)

またこういった原曲を大事にしたremixの場合主にベースで原曲と差別化を図っていくことになるかと思いますが、このトラックの場合まさにそれがはまった感じです。
ほぼ展開のない平坦な原曲に比べきっちり抑揚がつけられているところも○で、「Dimitri」がDJ寄りのトラックメイカーであることが功を奏していると思います。

あと終盤に哀愁感たっぷりのストリングスが入ってくるんですが、これがグッと来るか野暮ったいと感じるかで好みが別れそうなところです。

■Music Sounds Better With You (32 on Red mix)

既におなじみ「Daft」仲良し「DJ sneak」によるremixです。
もう一つ「32 on Red dub」というバージョンもありますが、これも十二分にdubしてます。
ディスコなボーカルものを期待した人はあっけにとられたんじゃないでしょうか。
まだ多少メインのループが原形とどめていたり、ボーカルの使用も多めですがdubはdubです。

■Music Sounds Better With You (32 on Red dub)

基本的には先の「32 on Red mix」と似た造りですが、もはや完全に原型を留めてないです。
ボーカルもクリックハウス寸前まで刻まれて何を言ってるのかわかりません。
ただ「Daft Punk」の「Guy-manuel」のレーベル「Crydamoure」とかそっち系の音がOKな人はドンピシャかもしれません。
自分も購入当時は「Cryda」にはまってた頃だったので結構好きでした。

■Music Sounds Better With You (Chateau Flight Remix)

「i:cube」と「Gilbert」によるユニット「Chateau Flight」によるremixです。
「i:cube」はフランスのシーンの「Daft Punk」にとって先輩に当たる一人で、「i:cube」のトラック「disco cubizm」を「Daft Punk」がremixしていたりします。
(これは割とリリースが古いにもかかわらず、比較的最近の「FPM」によるmix「Sound Concierge #402」で使用されていたりとクラシックと呼んでいいような好remixになっています。)

トラックはこれまたかなりダビーな感じで、原形をとどめてないループとわずかな声ネタで展開していきます。
ただ「i:cube」とか「disco cubizm」とかネーミングにもなにかとおしゃれ感漂う彼らですが、やはりトラックもご多分に漏れず子洒落た質感になっています。
その辺りに「Alex Gopher」とか「Daft Punk」以前のフランスのテクノ、ハウスの人達に共通する質感を感じたりもします。
またそんなところが同じdub mixでも攻撃的な「DJ sneak」によるmixとの違いを出しているかもしれません。

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  1. 2006/03/27(月) 12:36:25|
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ROULE 305 STARDUST "Music Sounds Better With You"

roule305

STARDUST "Music Sounds Better With You"

Chaka Khan "Fate"(サンプリング元)

「ROULE」を知らなくてもこの曲は知っているという人がかなり多いと思われるのが、この「Music Sounds Better With You」です。

この「Stardust」は「Daft Punk」の「Thomas」、先にこの「ROULE」から「Vertigo」をリリースした「Alan Braxe」、最近リリースされた「FPM」の新譜「Imaginations」にも彼とのコラボ「Tell me」が収録されているボーカリスト「Benjamin Diamond」によるユニットです。

このトラックはこの「ROULE」というローカルレーベルからリリースされたにもかかわらず、とうとうVirginからCDシングルまでリリースされてしまう程の大ヒットになりました。
(おそらく邦盤もあったような気がします。)

そして特に日本における一般的な知名度は圧倒的に「One More Time」の方に軍配が上がるかと思いますが、「Thomas」ひいては「Daft Punk」としてのリリースを通じてより強くクラブシーンに影響を及ぼしたのは間違いなくこっちでしょう。

そもそもこれが彼らにとってはじめて本格的にボーカルを導入したトラックでもあり、ここでのこうしたチャレンジがなければ間違いなくその「One More Time」、またその流れを徴収して容赦なくポップを徹底した2nd「Discovery」も生まれえなかった筈です。
(このプロジェクトには参加していなかった「Daft Punk」のもう一人、「Guy-manuel」も当時の「Rockin'on」かなにかのインタビューでこの「Music Sounds Better With You」のようなトラックを自分も作ってみたいと言っていたことからも「One more time」誕生への布石をうかがい知ることができます。)

個人的にはこの「Stardust」後にフレンチのシーンを知ったことからあまりそのトラックが実際にもたらした影響というものを実体験していないので、それを正しく解釈することは難しいです。
ただ客観的事実としてこのトラックのヒットを契機として多くのフォロワーと言えるようなディスコライクなボーカルトラックが作られ、そしてそれらがヒットを飛ばしていったことで「フレンチハウス=ディスコライクなボーカルトラック」と言った図式が形成されて行くことの要因となったのだろうと思います。
(フォロワーとして代表的なものは「Armand Van Helden」の「You don't know me」、「Super Funk」の「Lucky Star」、「We in music」の「Now that love has gone」等でしょうか。)

では外堀でなくその音に関してですが、それはまた後にリリースされたremix盤を取り上げる際にまとめて触れてみたいと思います。 続きを読む

テーマ:テクノ・エレクトロニカ - ジャンル:音楽

  1. 2006/03/13(月) 13:10:50|
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ROULE 304 ROY DAVIS JR. "Rock Shock"

roule304

ROY DAVIS JR. "Rock Shock

シカゴハウスの重鎮「Roy Davis Jr」を招いてのリリースです。

丁度この頃(1998年)「Daft Punk」の相棒「Guy-Manuel」が立ち上げたレーベル「Crydamoure」からも「Paul Johnson」がリリースしたり「Guy-manuel」自身が「DJ Sneak」とコラボレーションしたりとシカゴ・ハウス勢との関わりが非常に活発になっていたようです。
(割と有名な話ですが、自身も登場して話題をさらったGAPのCMに使われた2nd「Discovery」のヒット曲「Digital Love」の作詞をこの「DJ Sneak」が担当したりしています。このあとリリースされる「Music Sounds Better With You」のremixも彼が担当していたりと、特に彼とは親交が深いようです。)

1st「Homework」に収録の「Teachers」でリストアップされた彼らのリスペクトするアーティスト名からもわかる事ですが、やはり「Daft Punk」のクラブ・ミュージックの直接的なルーツはシカゴ・ハウスにあるようです。

音は洗練されたディスコサンプルによる構成が「AIR」に続いてグローバルなヒットを記録し、最近また「Soulwax」や「Tiga」のremix等で再評価を受ける「Philippe Zdar」属する「Cassius」に近い雰囲気で、だいぶ成熟してきた当時のフレンチの空気が良く出ているトラックかと思います。
B面にやっぱり「Thomas」によるremixが入ってますが、そんなに大きな違いはないです。

ただ既に下手をすればこの「ROULE」よりも全く規模の大きなレーベルから自由にリリースできるだけの立場を持っていたであろう「Roy Davis Jr」が、ただでさえリリースも少ないこの音楽僻地フランスのレーベルからわざわざリリースしなければならなかったのかというと、前回触れた「新人を発掘する」と言った意図も考慮すると少々疑問が残ったりもします。
  1. 2006/03/06(月) 12:17:12|
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Tiga VS The Chemical Brothers / Louder Than Rockin' Beats

tiga_louderchamical_beats

Tiga VS The Chemical Brothers / Louder Than Rockin' Beats

懲りずにまたmash upネタです。
理由は「block rockin' beats」のBPMが遅すぎたので、セットに入る130近傍に合わせたものが欲しいなと思ったからです。
そして今更といった感じですが、最近「Tiga」はじめ「PIAS」の人達にやられているのもその理由です。


テーマ:ハウスミュージック - ジャンル:音楽

  1. 2006/03/02(木) 10:40:38|
  2. mash up
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