既におなじみ「Daft」仲良し「DJ sneak」によるremixです。 もう一つ「32 on Red dub」というバージョンもありますが、これも十二分にdubしてます。 ディスコなボーカルものを期待した人はあっけにとられたんじゃないでしょうか。 まだ多少メインのループが原形とどめていたり、ボーカルの使用も多めですがdubはdubです。
基本的には先の「32 on Red mix」と似た造りですが、もはや完全に原型を留めてないです。 ボーカルもクリックハウス寸前まで刻まれて何を言ってるのかわかりません。 ただ「Daft Punk」の「Guy-manuel」のレーベル「Crydamoure」とかそっち系の音がOKな人はドンピシャかもしれません。 自分も購入当時は「Cryda」にはまってた頃だったので結構好きでした。
そして特に日本における一般的な知名度は圧倒的に「One More Time」の方に軍配が上がるかと思いますが、「Thomas」ひいては「Daft Punk」としてのリリースを通じてより強くクラブシーンに影響を及ぼしたのは間違いなくこっちでしょう。
そもそもこれが彼らにとってはじめて本格的にボーカルを導入したトラックでもあり、ここでのこうしたチャレンジがなければ間違いなくその「One More Time」、またその流れを徴収して容赦なくポップを徹底した2nd「Discovery」も生まれえなかった筈です。 (このプロジェクトには参加していなかった「Daft Punk」のもう一人、「Guy-manuel」も当時の「Rockin'on」かなにかのインタビューでこの「Music Sounds Better With You」のようなトラックを自分も作ってみたいと言っていたことからも「One more time」誕生への布石をうかがい知ることができます。)
個人的にはこの「Stardust」後にフレンチのシーンを知ったことからあまりそのトラックが実際にもたらした影響というものを実体験していないので、それを正しく解釈することは難しいです。 ただ客観的事実としてこのトラックのヒットを契機として多くのフォロワーと言えるようなディスコライクなボーカルトラックが作られ、そしてそれらがヒットを飛ばしていったことで「フレンチハウス=ディスコライクなボーカルトラック」と言った図式が形成されて行くことの要因となったのだろうと思います。 (フォロワーとして代表的なものは「Armand Van Helden」の「You don't know me」、「Super Funk」の「Lucky Star」、「We in music」の「Now that love has gone」等でしょうか。)
ただ既に下手をすればこの「ROULE」よりも全く規模の大きなレーベルから自由にリリースできるだけの立場を持っていたであろう「Roy Davis Jr」が、ただでさえリリースも少ないこの音楽僻地フランスのレーベルからわざわざリリースしなければならなかったのかというと、前回触れた「新人を発掘する」と言った意図も考慮すると少々疑問が残ったりもします。